日本語を学ぶ生徒さんの中にはいろんな理由で学ぶ方がいます。アニメ、漫画、仕事、結婚・・・そして少数ですが、継承語として日本語を学ぶ方もいます。
きんぎょの生徒さんの場合は、主に日本から移民した方々のご子孫で、二世代、三世代目、四世代目に当たる方々です。
若い頃は興味がなかったけど、ある程度の年齢にさしかかり、家族のルーツに興味をもったから日本語を勉強し始めたという方もいます。特にコロナ禍で在宅時間が増え、そういったことに興味をもったという方もいました。
先日そんな生徒さんとのレッスンがありました。
ルーツが理由なので、レッスン中も今は亡きご家族の話がよく出てきます。
話をしていてふと、生徒さんがいいました。「きんぎょ、私のおじいちゃん世代の人たちって、砂糖を日本に送っていたらしいのよ。なんで?」
よくよく話をきくと、太平洋戦争前後の話でした。
海外に移民した生徒さんのご先祖は、赤十字を通して戦時中も日本に住む親族のために砂糖を含む物資を定期的に送っていたそうです。そしてそんな思い出話を聞いて生徒さんは育ちました。
このあたりから日本語での説明が困難となり、生徒さんの了承を得て共通語で話すことにしました。
当時は砂糖が非常に高価で貴重品だったこと、砂糖だけではなく毎日の食事に事欠く生活だったこと。きんぎょの家族の話も交えておしゃべりしました。
きんぎょの曾祖母はけっこう後の時代までサッカリン(?)という名前だったような、はっきり覚えていませんが、砂糖ではなく人工甘味料を料理に使用していたと聞いた記憶があります。
逆に生徒さんの母国で砂糖は『タダ同然』のものだったそうで、「なぜタダ同然の砂糖を、お金持ちの国日本に送っていたんだろう?」と不思議に思いながら聞いていたそうです。
人数は決して多くありませんが、こういう生徒さんとのレッスンは、他の生徒さんとはまた違う面白さがあります。レッスンを通して、いろんな人の人生や家族の歴史に触れるとき、やりがいのある仕事だなと本当に思います。