めざせ日本語教師~オンライン日本語Tutorのよもやま日記~

普段は派遣の会社員、副業でオンライン(italki, プライベート)の日本語のセンセイをしています。NAFL修了しました。

〈その665〉そういう言い方は良くないよ

「そういう言い方は良くないよって言われても、何が良くないのか分からない。」

上級レベルの生徒さんで、特に日本で働いている方からこんなことを聞くことがあります。

いくつかのタイプがあります。きんぎょの推測ですが、上記のように言われた場合、空気を読まない表現をしたか、(発音ではなく)文章の意味以外の別の印象を与える言い方をしたか、この2つの場合が多いです。

文法的に間違ってない、発音が間違ってない、その場に応じた表現ができていればバッチリです。ただ日本語の場合、まあるく収めようとした上司にハッキリ言っちゃったとか、ちょっと語尾を強く言ったら嫌味っぽいか押し付けがましくなった、など、思ってもみない問題が起きることがあります。

グチの場合は聞いてお付き合いします。どうしたらいい?という生徒さんの場合は、生徒さんの要望や環境をを聞いて、それに合わせます。

これは実際けっこう難しい問題です。なぜならこの「良くない」は、言語の機能の問題ではなく、相手の胸の内=感想や感情への作用である場合が多いからです。

その言い方からは敬意が感じられない、空気が読めてない、見下されている感じがする、バカにしている感じがする、などでしょうか。

①直す場合

実際にそう取れる言い方をしており、そのクセを直せば解決するものは、それをできるだけ言語化して伝えます。

例えば、「これなんですけどーーー、明日までにーーーーおねがいしまぁすーーーーー。」この場合は単純に語尾の伸ばし過ぎですね。ちょっと嫌味っぽく聞こえる場合が多いです。直すのは語尾で、単純に伸ばしすぎを止める練習をします。あと、アニメのキャラで、似たような話し方をするキャラクターのシーンを見せることもあります。このときは「アグレッシブ烈子」(生徒さんも知ってるやつ)だったかな?ちょっと忘れましたが、そのキャラのイメージから印象を想像しやすい場合があります。

 

②直さない場合

どちらかというと聞き手との関係の問題かも、という場合もあります。実際、この手のお悩みで、日本語のレッスンとして直す必要があると感じるのは2割くらい、あとは聞き手の過剰反応かな?という場合がよくあるんです。

これは難しい問題です。なにせ相手の内面の問題と関わります。生徒さんの性格や日本での生活に求めているものなどを考慮して対応します。

特に日本語で話す相手が配偶者やパートナーではなく、ビジネスの相手の場合、むしろちょっと空気読めないくらいのほうが良い場合もあります。

 

ここで最初の行に戻ります。

このフレーズは、昔の生徒さんがレッスン中に言ったことばです。当時日本で働いていて、会社のコンサルタント業務を一手に引き受けている方でした。顧客(日本人)から言い方に関するクレームが来たそうです。生徒さんショック。ところが会社は「いいよ、いいよ。気にしないで。」とのこと。いや、気になるわ!😂

会社としては、空気ばかり読まないで、期日や予算を守って顧客とのやり取りをガンガン進めてくれるほうが良かったんだそうです。でも顧客としては空気読んで、忖度してくれないからムカついちゃう。結論としてはそんな感じでした。

この一件は、きんぎょにとってもちょっと目からウロコな事件でした。全てがネイティブのようであることが、必ずしも有益とは限らない。言語って、目的によって最も有益な形は違ってくるということを思い知らされた出来事でした。