めざせ日本語教師~オンライン日本語Tutorのよもやま日記~

普段は派遣の会社員、副業でオンライン(italki, プライベート)の日本語のセンセイをしています。NAFL修了しました。

〈その194〉「簡単で分かりやすく」の落とし穴

 今日は「簡単でわかりやすい説明の落とし穴」をテーマに書きたいと思います。youtube 、書籍、ウェブサイトなどで「簡単に分かりやすく説明します!」という文章をよく見ますね。私はこのコトバがとっても好きでした。だって、難しいことをややこしく説明されるよりも、簡単にわかりやすく教えてもらえる方が、そりゃあいいですよね。

 私は日本語のチューターを始めて、この「簡単でわかりやすい説明」は、私がおもっている「簡単でわかりやすい」とは違うことに気が付きました。今まではなんとなく聞いている受け手だったのですが、日本語のチューターを始めたことで、私が発信する情報の受け手(生徒さん)の反応をダイレクトに見る機会ができたことが理由だと思います。簡単でわかりやすい情報は、決してもとの情報から不要な部分を抜き取ったものではなく、誰かの意思や知識をもって変形させたものなのだとおもったきっかけを2つ書きたいと思います。

 

 まず1つ目は、簡単でわかりやすい説明がかえって邪魔をするケースです。これは私が簡潔な説明の受け手であった場合です。

これはある生徒さんとの会話がきっかけでした。この生徒さんとのレッスン用にその国で実施されているコロナ渦の経済対策の話を選びました。日本のニュースではこの対策は「〇〇国版GOTO」と紹介されていました。

私は関連記事を2,3つ読んで準備しました。実際に話しが始まるとなんだか話が噛み合わない。あれれ?とおもっていたら、噛み合わない原因は私でした。私の頭は「〇〇国版GOTO」という表記を見て、国が違うだけでほぼ日本の「GOTO」と同じものと勝手に思い込んでいたのでした。実際にはコロナ渦の経済振興対策というだけで、内容はかなり異なるものでした。それに気がついて、結局この対策の内容や国民の反応を教えてもらったり、実際に利用してみたいかなどの話に切り替えました。

 実際にはその記事にはもう少し詳細が書かれていたのですが、わかりやすい表記があったので無意識にそこだけを読んで理解したつもりになっていたのだと思います。

 

 もう一つは日本語の文法説明で、こちらは私が簡潔な説明の発信者だった場合です。

 日本語の文法や文字はややこしいです。活用も多いですし、例外もたくさんあります。私が良かれとおもって簡潔に説明したつもりが、簡潔すぎて生徒さんが混乱していたり、逆に説明しすぎて生徒さんが日本語学習に不安を抱いてしまうことも(TдT)  教えている私がまだ木の全容・全体像が見えていないのも一因だと思います。素人が、木の葉っぱの部分だけを見て、全体の剪定をしようとしているようなものかもしれません。

受け手に合わせて情報の枝葉を切り落としたり、逆にクリスマスツリーのようにオーナメントをつけてやったりしないといけないのですが、こんなに難しいことだったのか!と思う毎日です。

例えばテキスト「まるごと」は、文法説明がかなり簡潔です。これは日本語教育の専門家(よく知っている人)が、このテキストのユーザー層を想定し、それぞれのレベルの生徒さんに必要な幹の部分だけを選んで、枝葉は切り落とした状態だと思います。

自分が教えていて、この「幹の太らせ具合」や「枝葉の切り落とし具合」に頭を悩ませる毎日です。

 

11月の3連休、皆様どのようにお過ごしでしょうか?私、仕事とNAFLがんばります(TдT) やっぱり勉強が必要ですね。。。