めざせ日本語教師~オンライン日本語Tutorのよもやま日記~

普段は派遣の会社員、副業でオンライン(italki, プライベート)の日本語のセンセイをしています。NAFL修了しました。

〈その162〉できること、できないこと~最近のレッスン (italki)

 日本語のレッスンには、先生と生徒の数だけやり方があります。それは目的によって違います。italki でレッスンをしていると、生徒さんの求めていることと、私にできることが完全にミスマッチということは残念ながら起きます。生徒さんは、先生なんだからできるでしょ?と思うようですが、そうではありません。プロの日本語の先生でも、プロだから何でも完璧にバッチリできるわけではなく、日本語学校の先生ならよく知っていることでも、フリーの先生はあまり詳しくない分野も、またその逆もあります。例えば、私に学生ビザのことやアルバイトの制限のことを聞かれても全くわかりません。でも、日本語学校の先生は、先生によってはお詳しい方もいらっしゃいます。学生の生活のサポートも業務の一部という場合もあるからですね。

 私はJLPTやEJUについては無知に等しいので、試験対策を言われてもさっぱりわかりません。どちらかというと会話の相手や、日本に住んでいる外国人の会話の練習、就職試験の対策、テキストを使ったGeneral Japanese の練習が好きです。だったら、JLPTやEJUの勉強をしたら?というご意見もありましたが、資料を買うにも元手がいるのであれもこれもはできません。

 最初、レッスンの方向性に迷った迷子の私は、知らない・わからないと正直に言いたくないという見栄もあって、手当たりしだいにテキストを買ったり、調べたりしました。いろいろ迷った結果、JLPTやEJUについては、私のレッスン料金や生徒さんの層ではあまり需要がないと判断して、当面は手を出さないことにしました。将来的にもっと経験を積んで、レッスン料金をあげられるようになるためには避けて通れないとは思います。ですので将来の課題として置いておきます。

 現在のところ、日本に住んでいる生徒さんの場合は、自作のテキストや資料、まるごと、news web easy を使って日常会話の練習を中心にしています。特に日本語学校に通ったことのない方やそのご家族の場合は、初級のレベルまではまるごとを使用し、初上級くらいまで来たら、要望に合わせて臨機応変にしています。最初はテキストの作成に泣きそうになりましたが、ある程度ストックができると、他の生徒さんにも流用ができ、また選択肢も増えて、結果として私のレッスンの幅を広げてくれることとなりました。大変だったけどやってよかったことの一つです。

 中級以上の方は、テキストはあまり使いません。それぞれの要望に合わせます。毎回日本のネットニュースの記事を読んで、それについて話す人もいますし、世間話や、オンライン飲み会(私は飲みません)の人もいます。

 できることと、できないことの線を受け入れられるようになったのは最近で、ちょっと楽になりました。できないと思われたくない、不満をもってほしくない、断りづらいという気持ちが自分の中にこんなにあったのか!と痛感したこの一年でした。例えば、生徒さんとのレッスンの中で「え?そんな言い方するの?」と、最初はよく思ってましたが、今はそれを飲み込まず、必要であれば、言葉で説明できるようになりました。うまく説明できているかはわかりませんが、以前であれば不愉快に思って飲み込んでいたことを、筋道をたてて説明できるようになったことで、私の考え方や生活にも大きな変化がありました。

 あと、最近思ったのは、昔勉強したことや、読んだ本の知識は宝箱!ですね。会話の練習をしているとやっぱりネタが尽きてきます。中級以上の方になると、趣味や旅行の話しだけでレッスンは続きません。その時に、私が返す返事で「そうですね」「ほんとですね」だけでなく「本当に判で押したような返事ですね」「ほんとに『人の不幸は蜜の味』ですね」というふうに、ちょっと難しいことわざや慣用句を足してやると話が膨らみます。でもこれは昔図書館に引きこもっていたころの財産で、ああ、あの時読んだ本が今の私を助けている、本当に無駄なことってないんだなと思いました。