日本人(日本語ネイティブ)の日本語でも、その年代や所属する社会的な組織によって、話す言葉はかなり違います。そんでもって、指導する先生であってもかなり違います。
今回の生徒さんは、ビジネス日本語を目的に予約をしてくれました。きんぎょ、最近の生徒さんはビジネス系がわりと多いです。もともといた生徒さんの紹介で依頼を受けることが多いです。これは別にきんぎょが優秀なビジネスパーソンだからとか、優秀な先生だからというわけではありません。
今回の生徒さんは面接に関するお悩み&疑問対策でした。
この生徒さんの要望は「思った通りの日本語を話して面接をしたい」でした。きんぎょのレッスンを受ける前にもいくつかビジネスのコースを受けたり、面接レッスンを受けたそうですが、「そうじゃない!」と納得できず、回り回って友達(これがきんぎょの生徒さん)の紹介できんぎょのところにお鉢が回ってきたというわけです。
よくよく話をきくと、なるほどと思いました。
この生徒さんの考え方と指導される日本語が一致していなかったんです。決して生徒さんがダメだったとか、先生が良くなかったというわけではありません。
時々こんなケースがあるんです。
生徒さんは自分の能力や経歴を明瞭に説明したい、アピールしたい。でもそれを聞いた先生は「日本ではそんな言い方はしない。面接での印象が悪くなる。もっと控えめな婉曲的な表現をすべきだ」という具合だったようです。
これはどちらの言い分もわかります。
就職と一口にいっても、いろんなタイプがあります。
①日本人の配偶者と日本の地方都市の、さらに遠いところに住んでいて、何が何でもここで長く続けられる仕事を見つけないといけない、という生徒さんがいました。
かと思えば、②大都会のど真ん中にいて、成長著しい分野でビシビシやってて、次の転職先を虎視眈々と狙う生徒さんもいました。
実はこの2つのケースでは、面接で使う日本語は変わってきます。ビジネス日本語は一律ではないのです。
ざっくり言うと、①のケースでは、良い人間関係を築くための日本語が必要な場合が多いです。会社の人が、日本語非ネイティブと話すのは初めてなんてことは今でも多々あります。「一緒にやっていけそう」と思ってもらえる日本語のほうが効果がある場合があります。
②のケースはまさに今回の生徒さんが該当します。このチャンスがうまく行かなくても次がどんどんあります。エージェント経由で色んな情報がくるし、生徒さんは自信も戦う気も満々です。この場合は生徒さんの要望通り、ガンガン言ったほうがよいと思います。給料や処遇についても明確に話したほうがよいです。むしろ合わないなら面接の段階で分かったほうがよいのです。
生徒さんと一緒に職務経歴書や履歴書をチェックし、面接のスクリプトも作成し練習もしました。とりあえず満足いただけたようで、良かったです。
生徒さんが最後に、うまくいかなかったレッスンについて愚痴っていたので、ちょっと話しました。ビジネス日本語のレッスンをしてくれた3人の先生の年代や経歴ちょっと聞いたのですが、なるほど〜と思いました。
きんぎょもそうですが、ある程度より上の年代なら、そもそも就職はこちらが頭をさげてお願いします!方式ではないかと思います。バブル期世代以外はおそらくそうだったのではないでしょうか。エージェントを通してヘッドハンティングがガンガンきたり、オンラインで3つも4つもの面接を同時に進めて転職するという世代は、わりと若い世代じゃないと馴染みも経験もないように思います。肌感覚として分かりにくいように思います。
そんな話を生徒さんにすると、ちょっと納得してくれました。
語学の先生をやっていると、語学学習における講師と生徒の相性やレッスン開講時間、目的の理解の一致の重要性を思わされます。