めざせ日本語教師~オンライン日本語Tutorのよもやま日記~

普段は派遣の会社員、副業でオンライン(italki, プライベート)の日本語のセンセイをしています。NAFL修了しました。

〈その601〉外国語指導の視点を変える〜生徒さんから教えてもらったこと

「きんぎょ先生、日本人が英語の勉強が苦手な理由、わかります?」

あるレッスンで、生徒さんからこんな問いかけを受けました。

きんぎょの生徒さんには語学の先生をしている方がちょこちょこいます。この生徒さんは英語の先生です。ベテランの先生で、日本語も大変上手です。

この先生は英語ネイティブで、主に日本人の生徒さんたちを指導していて、日本の学校で学ぶ英語にとてもお詳しいんです。先程の質問は、学校での英語学習につまづいている子どもたちのことについて話しているときに出てきました。

「えっと、文法ばっかり勉強してるから?とか?」適当にそんな返事を返しました。すると生徒さんが言いました。

「違いますよ。日本人の先生が日本語で英語の文法説明をするでしょ?それは大事なことなんです。でもそもそも生徒はその説明の日本語が分かってないんですよ。ラテン語を勉強してるときの英語圏の大学生みたいな顔して説明を聞いてるんですよ。そもそも仕組みとしての日本語の文法が分かってないのに、他の言語の文法説明を日本語で聞いてもわかんないですよ。英語とスペイン語とか、文字や概念が似通っていたらそれでもまぁいいんですけどね。日本人が勉強する日本語文法って、古文を読むための文法や作者の心情を知るためのもので、言語構造や機能を学ぶための「国語の授業」じゃないんですよね。日本語のしくみがそもそもわかんないのに、わかんないものとわかんない言語(英語)を比較して説明されてもねぇ。だから外国人みたいに日本語を学ぶ機会が少しあればいいのにっていつも思います。」

へえぇぇぇ〜。

「だってきんぎょ先生、日本語にも自動詞・他動詞があるって知ってました?知らなかったでしょ?私の生徒たちもそうです。自動詞・他動詞なんていうのは、英語を学ぶときの意味不明な仕組みだと思ってます。でも日本語にもあるんです。英語は理解不能な高度な工業製品ではないんです。」

実はこれ、最近きんぎょが気になっていることでした。

きんぎょが今教えている方法って、ホントに生徒さんにとっての最適解なのかな?っていうのが疑問だったんです。例えば自動詞・他動詞にしても「この一覧が自動詞、この一覧が他動詞ですよと一覧表を渡して、「(ドアを)開ける」と「(ドアが)開く」を例にしたイラストを見せているのがホントに分かりやすいのかな?テキストや指導法で勧めている指導法を絶対視しすぎて、生徒さんの「分からない」を無視していなかっただろうか?「分からない」を生徒さんの努力不足と断罪していなかっただろうか?

もちろんそれで分かる人もいます。でもきんぎょの生徒さんの半数は、それについてこれなかった人たちです。生徒さんの目線から見て、もう少し異なる学び方はないんだろうか?

最近新しい本や、多言語の指導の様子なんかを動画で見たりしているのは、この生徒さんとの会話がきっかけでした。日本人に日本語で外国語を教えている、その日本語の意味が「理解できていない」「体感できていない」なんて、考えたこともありませんでした。日本人に日本語で教えているんだから、理解できて当たり前、ではないんですね。ましてや日本語を勉強する生徒さんはどうでしょう。何語を通して勉強しているにしても、指導者が当たり前と思っていることに生徒さんが苦しんでいる、というのは、なかなか気づけない視点でした。

 

ああ、書きたいことが多すぎてまとまらない!しばらく雑多に書いていきま〜す!