日本の大学に通っていた生徒さんとのレッスンがありました。
母国で一生懸命勉強して、日本の大学に奨学金付で入学された方です。
独学の日本語でN1まで合格した努力家です。
この方が日本の習慣で激怒していることがあります。
今日のレッスンでは「激怒」について話しました。
少し前に流行った「おにおこぷんぷん」とか「メロスは激怒した」、
「怒髪天を衝く」などなど、日本語には怒りに関する印象的な言い方、言い回しがけっこうあります。
この生徒さんの母語では、怒りは良くないものであり、あまり語彙がないとのこと。
そんな生徒さんが「怒る」じゃなくて「激怒」したのは・・・
「奨学金」です。
この生徒さんは、ほぼ全額の奨学金を得て、アルバイトをしながら生活費をまかない、日本の大学を卒業しました。
ご家族にとっても、本人にとっても本当に有り難かったそうです。
ところが同じ大学の日本人の学生の話しを聞くと、奨学金があるから・・・と浮かない顔。
なんでやねん?(ΦωΦ)???奨学金があるから有り難いんちゃうの??
そう、奨学金は奨学金でも返済しないといけないヤツ(貸与型奨学金)ですね。
「それは奨学金とは言わない!教育ローンでしょ?!」激怒!
「なぜ外国人の学生には正しい意味の『奨学金』しか言わないのに、日本人の学生には『ウソの奨学金』を言うの?おかしくない?それは奨学金じゃない!」
生徒さんの経験では、母国でいくつか見た外国人留学生向けの日本の大学の案内書で、貸与型奨学を「奨学金」という言い方はなく、それはローン(student loan)という扱いだ、というわけです。
また、海外で就職する場合「奨学金を受けていた」というと、評価が高まる場合が多いそうです。
その理由は「学業成績が優秀だった=だから大学から学費のサポートが得られた」という図式が成り立つからなんだそうです。
でも日本の「奨学金を受けていた」はそうではない場合が多いことに生徒さんは心底驚いたそうです。
「私はね、こういう本来の意味を曖昧にする日本語を『日本語ロンダリング』と呼んでいます。」
確かに「奨学金」と言うことによって、「教育ローン」と言うよりずっと軽くなりますね。そして都合の悪い部分が覆い隠される。。。おお、ロンダリング😂