めざせ日本語教師~オンライン日本語Tutorのよもやま日記~

普段は派遣の会社員、副業でオンライン(italki, プライベート)の日本語のセンセイをしています。NAFL修了しました。

〈その496〉資格やレベルの嘘や偽造

<その494>で、生徒さんの自己申告の日本語レベルは当てになるのかどうかについて書きました。結論としては参考程度にしましょう、という感じでした。

参考程度ならまだ良いのですが、実は完全なウソということも、残念ながらあります。

いつだったか忘れましたが、ニュースでもJLPTの合格資格の偽造が問題として取り上げられたこともありましたが、実はきんぎょ、同じ経験があります。(きんぎょが偽造したわけじゃないですよ!)

きんぎょがボランティアで日本語の学習や生活のお手伝いをしていた頃のことです。仲良くなった日本語学習者の方から仕事を探しているから、いい仕事があったら紹介してほしいと依頼されました。たまたまその方に良さそうな求人があったので連絡しました。ただこの仕事、JLPTのN3以上が必須条件の一つでした。それをまず伝えてから求人を紹介しました。

「N3持ってるからぜひ受けたい!」と言われたので、きんぎょもとても仲の良い人だったのでぜひにと、お手伝いしました。

ところが。

アプリケーションフォームに記入している様子を見ると、どう見てもN3ではないような感じが漂いはじめました。明らかに文字になれていない。もしかしたら、実はN3に合格したのはずっと前で、ちょっと忘れ気味とか、いろいろ頭の中で疑わないよう考えていました。

「JLPTの合格証明書が必要だそうだから、すぐ出してね」ときんぎょが言いました。

すると「ちょっと待ってね。今無いけど、すぐ用意するから。」

ちょっと引っかかりました。

「再発行してもらうんですか?急がないと間に合わないよ。原本は?」

きんぎょ、なんだか変な感じがしました。そしてそれは的中しました。

結局、このかたはN3には合格しておらず、合格証明書は偽造のものを用意するつもりだったようです。

(・_・;) エライコッチャ~

偽造の原本を提出しても、日本語の勉強は続けるから、将来的にN3を取れば辻褄はあうでしょ?それ以外の条件は全部満たしてるし、というのがその方の理屈でした。

いやいや、辻褄合ってないよ~。

冷や汗が流れました。

非常に高学歴な方で、母国ではかなり専門的な仕事をなさっていました。ただ日本語の学習は思うほどうまく進んでいませんでした。

あとでたまたまこの生徒さんと同じ国出身のitalki の先生と話をしていて、ディスカッションのテーマが「資格の偽造」だったんですが、そんなテーマが出てくるくらいある意味では一般的な問題だったようです。先生から「うちの国じゃあありとあらゆる資格が偽造されてるよ。大学だけじゃなくて、初級学校(日本の義務教育に当たる)や、なんなら幼稚園のでもあるよ。一度就職しちゃえば、労働者の権利はけっこう強いから、まずはとにかく合格しようとするのよ。」

罰則は厳しいそうですが、それでも偽造は後を絶たないと言っていました。

 

けっこう仲良くしているつもりだったので、正直にいえばとてもショックでした。事前に偽証が判明したのはラッキーでした。

この経験は残念なことではありましたが、後のきんぎょの日本語教育のしごとにとても役立ちました。きんぎょの常識は、あくまできんぎょの常識に過ぎない。

これまでの仕事でも、痛い目に合わされたことはたくさんありました。でも、ボランティアという、個人の気持ちでやっている活動でそういう目にあったのが、余計に衝撃的だったのを覚えています。